境界性パーソナリティの悪循環の図 2008-3-9
● | 中心となる基本テーマに、(1)自信がない、(2)資質を生かせる活動の場が乏しい、(3)支えになる仲間が少ない、の三つがある。 |
● | 基本テーマから「落ち込み」「空しさ」などの感情が生まれ、対人関係の特徴(例えば、傷つきやすさ)につながる。 |
● | 日常生活の「行き違い」などで「見捨てられた」などと極端に受け止めて、行動化を起こしてしまいがち。 |
● | 行動化が「周囲との軋轢」の増大、患者本人の「後悔」などをもたらし、不安・抑うつ症状や基本テーマが、いっそう悪化する。 |
● | 以上をふまえて、「典型的なうつ病との違い」や「精神科での治療の内容や限界」を理解してもらう。 |
● | 患者本人の試行錯誤・自助努力で「行動化」を減らし、基本テーマを変えていくことが治療の本質であると伝える。 |
ここでは、中心となる基本テーマに、(1)自信がない、(2)資質を生かせる活動の場が乏しい、(3)支えになる仲間が少ない、の三つがある
とされていますが、それに「(4)他人と自分の気持ちがすれちがう」を加えてもよいだろうとの意見もありました。(尾崎先生)
優先順位をつけられない。一人で抱え込む。このあたりも特徴です。
なるほど、うまく行かない根本の原因は、気持ちのすれちがいで、そこから、自信ももてないし、仲間も少なくて、一人で悩み、抱えきれないという結果になると考えることはできそうです。
ショックを受け易く、
たいていは我慢するのですが、
ときに「過剰な反応」になってしまいます。
ショックを受けるのは仕方がないので、
過剰な反応はしないでおきましょうと
話し合うわけです。
また、日常生活で、
「見捨てられた」
「嫌われた」
「見下された」
と感じすぎる傾向について、
いろいろな研究があります。
たとえば、いろいろな写真を見せて、
この人は怒っているか。悲しんでいるかとたずねると、
一般の人よりも、「怒っている」「非難している」と
感じる反応が多いようで、
このあたりも、ショックを受け易い要因のひとつになっているようです。
ある種の過敏さ、受け取り方の歪みが、やはりあるようです。
病院を転々とする傾向もあるのですが、
真剣に援助を求め、変化を求めていると評価することもできます。
転々とするときに、「過剰な反応」ではなく、新しい変化を求めるのだと冷静に対処すればいいわけです。
何もかもすべてが一度に改善するものではないのですから、
治療の当面の目標を小さく決めて、
できるかどうかやってみればいいのです。
精神の全部が不健康な思考に侵されているわけではありませんから、
精神の健康部分を用いて、かなり健康に暮らすことも可能なのです。
つまり、「過剰な行動」をまず何とか我慢して、抑えることが目標になります。