神経症性うつ病について 2012-02-20

8-3 神経症性うつ病について MD2012-25

8-3 神経症うつ病について

第2章で述べたように、神経症うつ病という用語は1980年のDSM-IIIのとき公式の辞書から消えていて、重々しい響きの全般性不安障害(GAD)と気分変調症に置き換えられた。結果として医師はGADと気分変調症の併存する患者をしばしば診察することになる。1980年以前に神経症うつ病とラベルされていた患者はGAD+気分変調症と同じ分類なのだろうと思う。【which represents なので単数なのだが、GAD and dysthymia を指すと考えるのが妥当ではないか?しかしそうなると全く意味の重複した一文であり、余計になる。】私は神経症うつ病という用語に立ち返りたいのだが、それは偽科学的業界用語を使うことなくこれらの患者の経験をもっと明確にとらえることができると思うからである。

この病気の中心症状は慢性中等度の不安と抑うつであり、大うつ病エピソードの診断基準を大部分の時間満たさない。

これらの患者は比較的正常機能の時期によって区切られる明確な大うつ病エピソードを反復することはない。不安症状は気分症状と同様に機能不全をもたらす。

神経症うつ病(GAD/気分変調症)を治療するとき、医師はしばしば再発性単極性うつ病の治療と同じ方法を使う。つまり、抗うつ薬による長期治療をする。これはひとつには、DSM-IVがこうした症候群をすべて大うつ病性障害(一部は気分変調症とGADとの併存症)と分類しているからである。私の考えでは、診断をきちんと分けないから、証拠もない、たぶん不必要な治療をすることになる。GADと気分変調症では抗うつ薬の長期利益は確立されているとは到底言えない。慢性状態であるから短期利益といってもほとんど意味がない。しかし私にとってきわめて非科学的で、実際反ヒポクラテス的なのは、抗うつ薬長期投与をすれば利益は不明なのに費用がかかるし副作用があることである。私は過去には懐疑的だったのだけれども、今は古い精神分析家が正しかったのだと思っている。こうした患者は精神療法で治療されるべきである。少なくとも害を及ぼさないし、しばしば助けになるだろう。費用と時間がかかることは確かであり、保険会社は払い戻ししてくれないし、製薬会社は精神療法を販売することはない。しかし、広く知られた健康保健制度の不備は別にして、厳密に科学的観点から言えば、神経症うつ病の場合には抗うつ薬長期投与よりも精神療法が好ましいと私は思う。

症例スケッチ
38歳男性の主訴は慢性不安、不眠、常時困惑、胃部不快感、頭痛、慢性抑うつ気分、全般的意欲喪失(しかし趣味はできている)、自己評価の低さ、集中困難である。罪責感や自殺念慮は否定している。エネルギーレベルは変動していて、ときに正常、ときに低下、しかし常時重度に低いわけではない。不安と抑うつが常にあるので対人関係で問題を抱え、職業はうまくいかなかった。それまで自殺企図はなく、入院もなく、薬剤を求めたこともなく、精神科的ケアを求めたこともない。本人診察と母親への電話によれば、慢性中等度抑うつ/不安よりも重度の再発性エピソードの既往はなかった。十代と二十代の早くにそれぞれ3ヶ月持続する悪化した抑うつの時期が1つまたは二つあった可能性があるが、その他は、病歴では慢性の性質である。患者は精神療法を受けるかどうかについては迷っていたが、疾病保険は10回の面接をカバーしているだけなので時間もお金もなくて無理と語った。こうして精神科医セルトラリンを処方し、200?/日まで増量、3ヶ月継続し、患者はほんの少しだけ楽になったというが、性機能障害を訴えた。ブプロピオンは400?/日を2ヶ月試した後に利益がなかった。ベンラファキシンは1週間して動悸がした。シタロプラムは40?/日を3ヶ月続け、不安が中等度改善したものの抑うつは改善しなかった。ブプロピオンとシタロプラムを併用して利益はなく、不眠が悪化した。最後に精神科医は患者に治療抵抗性うつ病であることを告知した。母親同席で診断面接が繰り返され、同じ病歴が確認された。精神科医は精神療法の追加を強く勧めた。割引料金でソーシャルワーカーと面接することにした。精神療法をはじめて3ヶ月してやや改善し、6ヶ月して中等度不安減少し、1年して不安も抑うつも少なくとも中等度改善していた。この時点で精神科医は最後に残っていた抗うつ薬シタロプラムを打ち切り、悪化することはなかった。患者は長期に精神療法を続け、頻度を減らし、1年後には月に一回にした。

要約
単極性うつ病治療には二つの基本局面がある。急性期と予防期である。急性期には、最重要目的は抗うつ薬の種類と量を充分試すことである。分類の違う薬剤を1つずつ試す。予防期には、抗うつ薬よりも精神療法が有効である。精神療法が最も有効なのは非再発性単極性うつ病の急性期治療のときである。さらに注意すべきは、残遺うつ病である。それは機能障害を引き起こす。反応よりもむしろ寛解が治療の目標であり、そのことが、精神薬理学と精神療法を組み合わせるべきベストな根拠である。

ーーーーー【解説】
反応よりも寛解、さらにそれよりも回復を目指すのは当然であるが
なぜこんなことをことさらに言うのか意味不明。

精神療法は単極性うつ病の非反復性の初回、2回までと、反復性の残遺期に有効というのであるが、
非反復性の初回、2回は反応性うつ病の可能性が高く、未治療でも多分治癒するものが多いだろう
反復性の残遺期には、どのような精神療法が有効なのかが問題であるが、実際にはSSTのような技法になるだろう

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