ADHD (注意欠陥多動性障害) 2008-3-26
ADHDの定義と判断基準(試案)
(1) ADHDの定義
ADHDとは、年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、及び/又は衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすものである。また、7歳以前に現れ、その状態が継続し、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。
※ アメリカ精神医学会によるDSM-IV(精神疾患の診断・統計マニュアル:第4版)を参考にした。
(2) ADHDの判断基準
以下の基準に該当する場合は、教育的、心理学的、医学的な観点からの詳細な調査が必要である。
1.以下の「不注意」「多動性」「衝動性」に関する設問に該当する項目が多く、少なくとも、その状態が6カ月以上続いている。
○ 不注意
学校での勉強で、細かいところまで注意を払わなかったり、不注意な間違いをしたりする。
課題や遊びの活動で注意を集中し続けることが難しい。
面と向かって話しかけられているのに、聞いていないようにみえる。
指示に従えず、また仕事を最後までやり遂げない。
学習などの課題や活動を順序立てて行うことが難しい。
気持ちを集中させて努力し続けなければならない課題を避ける。
学習などの課題や活動に必要な物をなくしてしまう。
気が散りやすい。
日々の活動で忘れっぽい。
○ 多動性
手足をそわそわ動かしたり、着席していてもじもじしたりする。
授業中や座っているべき時に席を離れてしまう。
きちんとしていなければならない時に、過度に走り回ったりよじ登ったりする。
遊びや余暇活動におとなしく参加することが難しい。
じっとしていない。または何かに駆り立てられるように活動する。
過度にしゃべる。
○ 衝動性
質問が終わらないうちに出し抜けに答えてしまう。
順番を待つのが難しい。
他の人がしていることをさえぎったり、じゃましたりする。
2.「不注意」「多動性」「衝動性」のうちのいくつかが7歳以前に存在し、社会生活や学校生活を営む上で支障がある。
3.著しい不適応が学校や家庭などの複数の場面で認められる。
4.知的障害(軽度を除く)、自閉症などが認められない。
※ アメリカにおけるチェックリストADHD-RS(学校用)、及びDSM-IV を参考にした。
※ 定義、判断基準についての留意事項
○ ADHDや高機能自閉症等は、医学の領域において研究、形成された概念である。教育的対応のための定義や判断基準は、現在ある医学的な操作的診断基準に準じて作成する必要がある。
○ 判断基準は、都道府県教育委員会がその判断及び指導方法等について学校を支援するために設置することになろう専門家で構成された組織(以下、「専門家チーム」という)において活用することを想定した。
○ 専門家チームでは、医療機関と連携して、必要に応じて医学的診断が受けられるようにしておく必要がある。