山内教授のうつのお話-4-2008

山内教授のうつのお話-4-2008

PEY.さて、一つの神経細胞を取り出して、くり返し刺激して、反応がどうなるか、調べます。
小さな神経についてはかなり難しいのですが、大きな神経ならば、ガラス電極というものを用いて測定する方法があります。
反復刺激があまりに近接していると、先に述べた、不応期の問題があり、
刺激に反応しません。
これはたとえば、あまりに矢継ぎ早に刺激が繰り返されたとき、細胞活動が停止することに対応しています。仮死状態と言ってもいいようなものでしょう。

さて、横軸に反復刺激をした時間経過を取り、縦軸にそれに対する反応を取ります。

例えば、猫の尻尾を1分に1回ずついじるとしてみます。
猫ははじめは反応していますが、
そのうちいじられても、反応しなくなります。
危険でないと分かり、新奇さがなくなり、慣れて行きますから、
反応してもムダだと知ってしまえば、放置するわけです。

一方、毒物や天敵に関しての反応は、
「慣れ」てしまってはいけません。猫は死んでしまいます。

実験の具体例で言えば、
神経細胞をひとつ取り出して、
一定の時間間隔で繰り返し電気刺激を与え、
結果として出力される反応を測定すればいいわけです。

いろいろな刺激が考えられますが、
動物に対しての大部分の刺激は、
反復されているうちに、無反応になるはずです。

しかし一部分は、
繰り返せば繰り返すほど反応が大きくなる種類のものがあります。

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分類してみましょう。

一定時間の間隔を置いて繰り返し同じ刺激をしたとき、
どんどん反応を大きくするタイプの細胞があります。
(1)
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これをManie-cell タイプと呼びます。躁タイプです。
刺激を続ければそれに応じて頑張って反応も大きくなるタイプです。
しかしいつまでも反応を増大させることはできないことなので、
いつか休止に追い込まれます。

これは頑張ったあとにうつになってしまうという
我々の観察に一致しているわけです。

学習という面では、どんどん新しい変化に対応しているので、有利な細胞でしょう。

反応を大きくすることで
刺激が中止されることも多いので、
これはこれで有用です。

これはつまり、あまりにしっぽが痛いと猫は驚いて逃げますから、刺激から遠ざかることができるわけです。

(2)次は、反復刺激に対して、冷静に一定の反応を返し続ける細胞です。
/


これをAnankastic-cellと呼びます。強迫タイプの細胞ということです。
同じ刺激に対して、同じ反応で返すタイプです。
しかしこの細胞にも反応の終りがきます。
反応する際には老廃物や疲労関係物質も蓄積するので、それを片付ける時間が必要になります。
その限度を超えて入力があると、やはり休止します。

(3)次に、一、二回程度反応して、あとは興味をなくしてしまうもの。


Depressive-cellです。うつタイプです。
これは上記二者に比較して、とてもおとなしく、すぐに諦める細胞です。
実際の話は、MやAのように神経が反応しても、筋肉は反応できません。疲れるからです。
D細胞は、筋肉細胞の特性をよく反映していますから、
筋肉を動かす細胞としては適しています。
アキレス腱が切れたり、肉離れしたりする前に、神経が反応を中止してくれれば、
筋肉としては助かります。

以上、MADと、反復刺激に対する一個の細胞の反応特性を、
3タイプに分類して上げてみました。

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さて、これらの神経細胞が脳にどのよう分布しているか、考えて見ましょう。
実際は、脳のどのあたりにどの特性の細胞が多いのかによって、
脳の機能としてかなり様子が違ってくるのですが、
今、場所は問わず、大きく全体の細胞数を考えましょう。

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ここで参考に、三種類だけではなく、多くの中間型も考えましょう。

たとえばひとつだけ例を挙げます。
最初はMに似た反応でしばらくするとAになり、最後はDになるというものであれば、


という形になるでしょう。

また、神経細胞には、軸索からの突起がいくつもあるのですから、
それぞれの突起で違う特性を示すこともあるでしよう。

また、ホルモンの影響などがあれば、本来その細胞の持つ特性とは別の特性を示すこともあるでしょう。
実際にはそのように複雑になっているはずです。

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そのような事を全部含めて、しかし話を単純化してしまいましょう。
脳に分布する細胞を分類して、縦軸に細胞数を取り、M→A→Dの軸を横軸にすれば、
各個人ごとに、どのタイプの細胞が多いのか、示すことができます。それが性格です。

(つづく)

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