セロトニントランスポーターと幼児期別離体験と牛若丸2008

セロトニントランスポーターと幼児期別離体験と牛若丸2008

抗うつ薬であるSSRIが作用する部位が
セロトニントランスポーターと呼ばれている部分で、
そこにタイプがあって、S型とL型と分類され、最近ではSS型とかもう少し細かい分類に進んでいる。

シナプス間隙にいったん放出されたセロトニンを
シナプス前細胞内に再取り込みするときに
このセロトニントランスポーターが働く
ここをブロックすれば再取り込みができなくなり
結果としてシナプス間隙のセロトニン量が増える
この状態が続くと
シナプス後細胞のセロトニンレセプターは減少するだろうし(ダウンレギュレーション)
またセロトニントランスポーター自身も数が変化するかもしれない

セロトニントランスポーターを作る部分の遺伝子が
セロトニントランスポーター遺伝子であり
それにはS型とL型とがあり
遺伝子は微妙に違うが、できあがったセロトニントランスポーターの働きには違いがないと言われる
違いは多分どのくらい能率よくセロトニントランスポーターを作るかとか
どの程度の量を作れば生産がやむかとか、そのあたりに違いが出るらしい

S型の人はセロトニントランスポーターの産生がL型の人よりも少ないだろうといわれている

SS型とLL型ではストレスにさらされたときのうつ病の発現度に違いがあり
SS型ではストレスに応じてうつ病発現が多く
LL型ではストレスにかかわらずうつ病発現は一定であるとの報告がある
ストレスに弱い人の体質というものは実際どのようなものなのかの一部が示されたわけだ

S型ではSSRIの効果がL型よりもよくないだろうとも言われている。

セロトニントランスポーター遺伝子多系の研究で、
民族ごとの違いなども興味深い点である
日本人はS型が多いだろうと言われている

セロトニントランスポーターのタイプと
幼児期の別離体験をクロスさせて分類して
後年にうつ病が発生するかどうかを見ると
セロトニントランスポーターS型、かつ、幼児期別離体験ありの群が
うつ病発症の率が高いとの研究がある。

そうならば
日本人で小学校入学くらいまでに母親と分離された人などはうつ病になりやすいだろうと言える。
戦争などでそのような別離体験をした人が
戦後復興期・経済高度成長のさなかに
軽躁状態を生きてきて
30歳か40歳になってうつ病になるというのは筋が通っている

牛若丸の早期別離体験が
日本人の心を深く揺さぶるのも
S型体質と関係がありそうである。

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