離人症 小西甚一『日本文学史』2005-10-16
「連歌の美は花や鳥の美しさではなく、花らしさや鳥らしさの美しさなのである」ドナルドキーン序文。
「花」=「花そのもの」+「花の花らしさ」
「花の花らしさ」を描けば絵。詠めば歌である。
「花そのもの」は不在であったとしても、「花の花らしさ」は存在することが可能である。
「花の花らしさ」を抽出純化すれば、それにより歌の優劣を決することまでができるようになる。そうした美意識が日本語の背骨になる。
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花の花らしさ、鳥の鳥らしさが失われるのが離人症である。それは苦しいものだ。
逆に、花の花らしさが突出して迫り、芸術の源泉になったり、精神を苦しくすることもある。