長期投薬も統合失調症と躁うつ病では意味が違う 2008-12-28
統合失調症と躁うつ病に対してそれぞれの薬剤を長期投与した場合の効果はかなり違うと考えられる
1.
統合失調症の場合にはドーパミンレセプターに蓋をする薬であるから、
それが長期にわたるとドーパミンレセプターにはアップレギュレーションが起こる。
これはつまりレセプターの数が増えて敏感になるということで、
薬剤の長期漫然投与は過敏性を増し、再発危険性を増すのである。
特に外泊をしたりして薬剤が一時的に抜けたときなどは、増えたレセプターが存在し、
しかも蓋もなくなるのであるから最高に過敏な状態になってしまう。
そして再発し、主治医は薬剤を増量し、そのままで固定して、さらに一段とアップレギュレーションが進行し、
結果として過敏性は増大する。
こうした悪循環の中で時間が経過する。
統合失調症の場合、長期大量投与するほど、再発の危険を高める。
2.
うつ病の場合。これはセロトニン系薬剤やバルプロ酸などの気分安定薬を使う。
SSRIを入れている間にシナプス間隙のセロトニンは増加し、そのことでセロトニン・レセプターは
ダウンレギュレーションを受ける。
結果としてセロトニン・レセプターは減少し、過敏性を抑制できる。
すると長期使用の結果としては過敏性の抑制ということで、これは統合失調症の場合とは逆の結果になる。
うつ病の場合には長期投与するほど再発を予防できる。
3.
違いはドーパミンレセプターに蓋をするメカニズムと、セロトニンを増やすメカニズムの、メカニズムの違いにある。