近親相姦のタブーが重要であるわけ 2008-12-24
フロイトが初期に言ったことは世間を驚かせた。
無意識とか
性的欲望の抑圧とか
近親相姦のタブー、エディプス・コンプレックス、
口唇期、肛門期、性器期など。
後半期のフロイトはとっても難しくなり、弟子たちはさらに思弁的になっていくのだが、
初期のフロイトは生物学的な開業医だから
分かりにくいことはない。
ダムのモデルとか、抑圧のモデルとか、水力学のイメージで、とてもくっきりしている。
現代の脳科学はその実質を明らかにしつつある。
その中で近親相姦のタブーであるが、
まず、最近の研究で、人類の始まりは一人の女性、ルーシーだったのではないかといわれていて、
そのあたりは具体的にどの人というのは難しいとしても、
多分、複数の人が同時に人類の特徴を備えたはずはなくて、始まりの人がいただろう。
どこから始まりとはいえないとしても、
このあたりから徐々にとはいえるわけだ。
そう考えると、しばらくの間は、その種の優位性を継続するため、拡散させないために、
近親相姦が必要だったのではないかと考えられる。
人類の始まりまで遡らないまでも、
自分から起算して、2の累乗を考えると、祖先の大部分は親戚同士でなければならないことになる。
いずれにしても、独自の形質を保存するため、また、財産を散逸させないため、
近親相姦はありうることだったはずだ。
それが、近親婚は奇形や流産の割合が高いといわれ始めて、
考えを変えたのだろう。
人類の初期の段階では、サルとセックスをするよりも、近親相姦のほうが利益があった。
人類の後期に至ると、近親相姦を禁止したほうが利益があった。
文化人類学で「交換」の様態を観察すると、大切な贈り物の中に女性は必ず入る。
戦争で男は捕虜になり女は遺伝子資源になる。
その頃になるともう、なるべく遠い遺伝子を求める傾向が顕著になる。
しかし人類の最初に、遠い遺伝子を求めることは有利なことではなかった。
だから、脳の記憶の中で、そのころの記憶は、あいまいで、出来れば忘れたいのだが、
ときどき蘇るのだろう。
*****
またたとえば、言語であるが、
現在ある種々の言語は、始まりの時点では一つのもので、
それが各地に分かれて、独自の方向に行ったのだろうと思われる。
すべての言語は方言であるということになる。
*****
これをクロスさせて考えると、
言葉を話すということは人間であるということで、
セックスしていいということだ。
そして違う言語を話すということは、
遺伝子的に遠いということで、
これは種の進化にとってはとてもよいことだ。
だから、違う言葉を話す人というのは、
セックスの対象として好ましいのである。
しかし一方で、その後の家庭生活とか、財産問題とか、親戚づきあいとか、
いろいろ考えると、同じ言葉を話す仲間の方が安心できる。
これは拡大された近親相姦なのである。
近親相姦のタブーが有効である範囲がどのようにして決まるのかといえば、
異種交配による新しい形質の獲得と、近親相姦による劣性遺伝子の発現と、
そのバランスと、家族や財産、つまり社会の側の問題と、その兼ね合いということになる。
ある時点で近親相姦の利益は近親相姦の不利益に負ける。
以上から推論すると、ある時点で、日本人同士の結婚は、不利益の方が大きくなるだろうと思う。
日本語を話す人同士の結婚は近親相姦の拡大だからだ。
2008-12-24 10:54
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うつ病・病前性格・自己愛の文献
この分野でまず参考になるのは笠原先生の単行本。時間を節約するためにも。
笠原嘉 精神科医のノート.みすず書房,1976
笠原 嘉 青年期―精神病理学から (1977年) (中公新書) (新書 – 1977/3)
笠原 嘉 不安の病理 (岩波新書 黄版 157) (新書 – 1981/5)
笠原 嘉 退却神経症―無気力・無関心・無快楽の克服 (講談社現代新書) (新書 – 1988/5)
笠原嘉 外来精神医学から.みすず書房.(1991)
笠原嘉 『軽症うつ病― 「ゆううつ」の精神病理』講談社現代新書、一九九六年
笠原 嘉 精神病 (岩波新書) (新書 – 1998/10)
笠原 嘉 アパシー・シンドローム 岩波現代文庫 税込価格: \1,155 (本体 : \1,100)
笠原 嘉 精神病と神経症 2巻セット みすず
論文としてはたくさんあるがうつと病前性格に関するもので挙げると
笠原嘉・金子寿子:外来分裂病(仮称)について.笠原嘉:精神病と神経症第1巻.みすず書房,pp295-311,1984
笠原嘉:うつ病の病前性格について.笠原嘉編「躁うつ病の精神病理1」弘文堂,東京,1976 ; 1―29,
笠原嘉:うつ病看護のために一社会参加の訓練を「いつ」「どう」始めるかー.精神科看護
笠原嘉:現代の神経症-とくに神経症性apathy(仮称)について.臨床精神医学2(2)153-162,1973
笠原嘉,木村敏:うつ状態の臨床的分類に関する研究.精神経誌77:715-735,1975
笠原嘉:アパシー・シンドローム:高学歴社会の青年心理.岩波書店,東京,1984
笠原嘉:二十歳台のうつ状態.躁うつ病の精神病理第5巻.弘文堂,pp225-248,1987
笠原嘉:診察室での軽症うつ病の臨床研究.広瀬徹也,内海健(編):うつ病論の現在一精緻な臨床をめざして.星和書店,pp199-212,2005
木村敏,笠原嘉:うつ状態の臨床的分類に関する研究.精神神経学雑誌77:715-735,1975
笠原嘉:うつ状態の臨床的分類試案(笠原・木村案)再論.精神経誌,81:786-790,1979.
笠原嘉 軽症うつ病について 月刊 臨床精神薬理 第6巻2号 2003年2月
笠原嘉:各科を訪れる可能性のあるデプレッション.心身医24:6-12,1984
最近発言が盛んなのは坂元先生
坂元薫:気分障害と人格.「気分障害の臨床」(神庭重信,坂元薫,樋口輝彦)星和書店,東京.1999 ;147―163,
坂元薫:臨床精神病理学的観点からみた Comorbidity概念の意義と問題点.精神科治療学,12:751-759,1997.
坂元薫:気分障害における病前性格の生物学的意義.精神科2002 ; 1 : 433―443.
執着気質の元の論文
下田光造:躁うつ病の病前性格について.精神経誌,43:45-101,1941.
下田光造:躁うつ病の病前性格について.精神経誌,45:101-103,1941.
下田光造:精神衛生講話.同文書院,pp.85-87,東京,1957
逃避型抑うつについての元の論文
広瀬徹也:「逃避型抑うつ」について.宮本忠雄編:躁うつ病の精神病理2.弘文堂,東京,1977
広瀬徹也:精神疾患におけるcomobidity概念の成立.精神経誌99:942-949,1997
広瀬徹也『抑うつ症候群』金剛出版、一九八六年
広瀬徹也:「逃避型抑うつ」再考.広瀬徹也,内海健編:うつ病論の現在.星和書店,東京,2005
広瀬徹也: 臨床精神医学講座第4 巻気分障害(広瀬徹也, 樋口輝彦責任編) . 中山書店, 1998,pp .3 – 19 .
広瀬哲也 Soft Bipolar Spectrum臨床精神医学, 30(6) : 667-669, 2001.
未熟型うつ病
阿部隆明:「妄想型うつ病」の精神病理学的検討一うつ病妄想の成立条件‐病前性格との関連-。精神経誌,92:435-467,1990.
阿部隆明:時代による精神疾患の病像変化気分障害.精神医学47:125-131,2005
阿部隆明,大塚公一郎,永野満,ほか:「未熟型うつ病」の臨床精神病理学的検討一構造力動諭(W.Janzarik)からみたうつ病の病前性格と臨床像.臨床精神病理16:239-248,1995
阿部隆明 Soft bipolar disorder(軽微双極性障害)概念について 臨床精神医学, 35(10) : 1407-1411, 2006.
自己愛について
牛島定信:現代社会と自己愛型人格障害.精神科治療学10:1231-1237,1995
牛島定信:臨床現場からみた職場の人格障害産業ストレス研究(Job Stress Res.),11,199-204(2004)[特別講演]
小野和哉 悪性自己愛 臨床精神医学第30 巻第2 号
小野 和哉 高齢者の自己愛性人格障害
小此木 啓吾 自己愛人間 ちくま学芸文庫 1992
小此木 啓吾「ケータイ・ネット人間」の精神分析 朝日文庫 2005
ディスチミア親和型の元の論文
樽味伸,神庭重信:うつ病の社会文化的試論一特に「ディスチミア親和型うつ病」について.社会精神医誌13:129-136,2005
樽味伸:現代社会が生む“ディスチミア親和型’臨床精神医学34:687-694,2005
メランコリー親和型の元の論文
Tellnbach,H.:Melancholie.4.erweiterteAun.Springer,Berlin,1983(木村敏訳:メランコリー.改訂増補版,みすず書房,東京,1985).
病前性格など
神庭重信,平野雅己,大野裕:病前性格は気分障害の発症規定因子か.精神医学2000 ; 42 : 481―489.
神庭重信,平野雅巳,大野裕:病前性格は気分障害の発症規定因子か:性格の行動遺伝学的研究.精神医学42:481-489,2000
神庭重信、坂元薫、樋口輝彦『気分障害の臨床-エピデンスと経験』星和書店、一九九九年
うつとパーソナリティー
津田均(2005)うつとパーソナリティー.精神神経学雑誌,107(12);1268-1285.
秋山剛,津田均,松本聡子ほか:循環気質とメランコリー気質:気分障害の性格特徴に関する 実証研究.精神神経学雑誌105:533-543,
非定型うつ病
加藤敏 DSM-Vに向けたJW Stewartらによる非定型うつ病の診断試案の評価と吟味
beard型うつ病
加藤敏「現代の仕事、社会の問題はどのように精神障害に影響を与えているか」精神科治療学 2007; 22:121-31
加藤敏 Tellenbach 型うつ病からBeard 型うつ病へ 2007 Bulletin of D&A
現代型うつ病
松浪克文・山下喜弘(1991a)社会変動とうつ病.社会精神医学,14;193-200.
松浪克文 うつ病の今日的病型と病態解明の意義 Bulletin of Depression and Anxiety Disorders Volume 5, Number 1, 2007
うつ病者の生活リズムと競争社会 松浪克文 こころの健康, 10(1) : 54-61, 1995.
治療について
原田 誠一 精神療法の工夫と楽しみ 金剛出版 2008
神田橋條治(1986)うつ病の回復過程の指標.精神科治療学,3;355-360.
神田橋條治(2005)双極性障害の診断と治療一臨床医の質問に答える一.臨床精神医学,34(4);471-486.
黒木俊秀(2005)薬物療法における精神療法的態度の基本一処方の礼儀作法-.臨床精神医学,34(12);1663-1669,
佐藤哲哉・成田智拓・平野茂樹,他(1998)気分変調症の精神療法.臨床精神医学,27(6);653-663.
総論的な関心
中安信夫:精神科臨床診断の思想一臨床診断基準に求められるものは何か.臨床精神医学講座 24,精神医学研究方法(松下正明総編集),pp.69- 81,中山書店,東京,1999.
その他
心療内科からみたテクノストレス症候群 村林信行, 筒井末春Pharma Medica, 12(6) : 61-64, 1994.
宮本忠雄:躁うつ病における混合状態の意義—-一臨床精神病理学的検討.臨床精神医学,21〔9〕:1433-1439,1992.
森山公夫:躁とうつの内的連関について.精神経誌,67:1163-1186,1965.
森山公夫:躁うつ病者における性格と発病状況の両極的把握について.精神医学,10:352-356,1968.
吉松和哉:Comorbidityとは何か.精神科治療学,12:739-749,1997.
雑誌特集
『臨床精神医学(特集・気分変調症の臨床)』二七巻六号、一九九八年
『臨床精神医学(特集:軽症うつ病の臨床)』二二巻三号、一九九三年
「臨床精神医学」「特集 うつ病周辺群のアナトミー」2008年9月号
DSM関係
4)American Psychiatric Association:DSM,IV sourse book. APA,Washington,D.C.,1996.
5)American Psychiatric Association:Diagnostic and Staitical Manual of Mental Disorders,4th ed. text revision(DSM-TR,TR).APA,Washington, D.C.2000.(高橋三郎,大野裕,染矢俊幸訳: DSM-IV-TR精神疾患の診断・統計マニュアル。医学書院,東京,2002.)
双極スペクトラム論で有名なAkiskal
Akiskal HS, Hirschfeld RMA, Yervanian BI : The relationship of personality to affective disorders. Arc Gen Psychiatry 1983 ; 40 : 801―810
Akiskal,H.S.,Bitar,A.H.,Puzantian,V.R.et al.:The nosological status of neurotic depression:a prospective 3-4 year follow-up examination in light of the primaly secondary and the unipolar-bipolar dichotomies.Arch.Gen.Psychiatry,35:756-766,1978.
Akiskal,H.S.:Dysthymic disorder:psychopathology of proposed chronic depressive subtypes.Am.J.Psychiatry,140:11-20,1983.
AkiskalHS,BitarAH,PuzantianvRetal:The nosological status of neurotic depression:a prospective three-to four-year follow-up examination in light of the primary-secondary and unipolar-bipolar dichotomies.Arch Gen Psychiatr 735:756-766,1978
Akiskal H:Mood Disorders:introduction and overview.Kaplan&Sadock’s Comprehensive Textbook of Psychiatry,7th edition.Lippincott Williams&Wilkins,Philadelphia,pp1284 –1298,2000
Akiskal,H.S.& Cassano,G.B.(eds.) Dysthymia and the Spectrum of Chronic Depressions,The Guillford Press,1977.
性格論で有名なCloninger
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Cloninger,C.R.,Svrakic,D.M.and Przybeck,T. R.:A psychological mode of temperament and character.Arch.Ge11.Psyc11jatry,50:975-990, 1993.
メランコリー親和型について疑問を呈しているのは古川先生
Funrukawa T,Nakanishi M,Hamanaka T:Typus melancholicus is not the premorbid personality trait of unipolar(endogenous)depression.Psychiatry Clin Neurosci 51:197-202,1997
古川壽亮(1998)気分変調症.(松下正明・浅井昌弘・牛島定信,他編)臨床精神医学講座4気分障害.pp.257-272,中山書店.
ドイツ精神医学的
SchneiderK:KlinischePsychopathologie.平井静也,鹿子木敏範訳:臨床精神病理学改訂増補第6版,文光堂,東京,1962
こちらは精神分析的
Kernberg,O.;Clinical dimensions of masochism.ln:Masochism;Current Psychoanalytic Perspectives ed.by Glick,R.A.,Meyers,D.I., Hillsdale,N.J.),pp.61-80,Analylicpress, Hillsdale,1988.
Gunderson,J.G.,Phillips,K.A.:A cullent view of the interface between borderline persollality disorder and depression.Am.J.Psychiatry,148:967-975,1991.