必要充分な小さな見取図 2008-10-1
必要充分な精神医学見取図を頭に描くなら
笠原先生の本を何冊か手にとって見るといいと思う。
新書版は啓蒙のために書かれていて、
特に基礎知識を必要としない。
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書物ならば書店で手に取り、
装丁、語り口、値段、出版社、挿絵、写真、それら全部を総合して、
たとえばどんな人たちのための本なのかと推定することができる。
やはり出版社があり、編集者がいるので、それなりの編集意図が感じられる。
たとえば岩崎学術出版でも金剛出版でも医学書院でもみすずでも日本評論社でも
微妙にターゲットの違いもあるけれども、だいたいどのような人を対象に書かれたもので、
どのような内容であるかは、分かることが多い。
ネットの場合はそうではない。とてもきれいに無内容なことも言える。
無骨に重い論を展開する人もいる。
ただ単に子引き、孫引きで済ませている場合もある。
その雑多な様子がいいところでもある。出版社や編集者などは関係ない。
でもそのせいで迷いが大きくなる場合もある。
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研究者同士でいえば、
研究者同士の雑談や私信がとても大事になったりする。
なかなか確かな道しるべになる。
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いずれにしても、自分にとっての必要充分な小さな見取図が必要なのだと思う。
今自分が読んでいるのはどのあたりのことなのか、
住所はどのあたりで拡大率はどのくらいかという意識である。
最近のネットの地図はよくできていて、分かりやすい。
そのような精神医学的な地図帳があればいい。
市橋先生がそのようなタイトルの力作を書いているが
やさしい精神病理学入門とはいうものの
市橋先生は秀才過ぎて、読む人も秀才でないと、
たいていは地図帳として使えないのではないか。
そのためにたくさんの本を読み、毎月出版される精神医学関係の雑誌を眺めるのもいいけれど、
簡便には、笠原先生の新書版をきちんと読んで、
必修版の教科書と、さらに読みたければ、二冊組みの論文集を読み、
それだけでもう満腹になるはずだと思う。
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最近改めて思うが、小此木先生の本は密度が高い。
無駄な文章がない。
かなりたくさん書いていて
重複もありそうなものだが、
見事に無駄がなく
こんなにも内容が詰まっていたのかと
驚いてしまう。