信頼できる文献ついて まずは笠原先生を参考にしたらいかがでしょうか 2008-12-2

信頼できる文献ついて まずは笠原先生を参考にしたらいかがでしょうか 2008-12-2

何かを調べたいとき、まずキーワードを考えて、検索して、
検索サイトの上位に並んでいている記事の一つに行ってみると思います。

専門家ならば、もちろん、そのサイトがどのような性格のものであるか、
記事が書かれた時期はいつか、正確さはどのくらいか、流派としてはどのあたりか、
独自の意見を述べているのはどのくらいか、分かると思いますが、
専門外の人にはそうはいかないと思います。

大切なのは、まず小さな地図だと思います。
地下鉄地図のような簡単版がいいと思います。
信頼できる小さな地図に従って、
目の前にあるそれぞれの意見や情報を、
自分にとって有用かどうか判断して行くことになります。

精神医学関係の勉強するに当たって、
非常に基本的で平易な教科書を一冊用意すればいいと思います。
いろいろな意見があると思いますが、一冊あげるとすれば、
笠原先生が執筆している必修精神医学は出色のできばえで、頭に入りやすいと思います。

この本に書いてあることを基本知識・ものさしとして、
それぞれの論文や文章に当たればいいと思います。
これは特殊な意見ではないかとか、
このような言い方は著者独特のものだろうなどと見当がついてきます。
検索で上位に位置することが信頼性があるとも言えないのが現実です。

そのようにして、自分なりの小さくて確実な地図帳ができて初めて、
物事の真偽が判定できるようになります。

本屋さんで精神医学や心理学の関係の棚に行くと、
学者、ジャーナリスト、病気体験者、病者の親などいろいろな立場の人が
細かく書いて発表しているのを見て驚くでしょう。
こんなにも多いのです。

本屋さんで見てきてくらくらになって帰ったとして、
ネットの世界に入るとまたしてもその情報の膨大さに驚きます。

体験談は限りなくありますし、
分類や理論の紹介についても、
非常に専門的な装いで、信憑性を高めています。
誠実な人柄よりも、ネットの操作が上手で、きれいな画面を作れる人の方が説得力があることもあります。
間違いがそのままコピーされていたり、
古いままで放置されていたり、様々な難点があることがあります。
あきらかに古い教科書の引用ですませている場合もあります。

チャットや掲示板も花盛りで、それに対しての
専門家の態度は二つあります。
一つはそれを信じるのも自由で、その損を自分で引き受けるのも自己責任であるというもの。
もう一つは、ネットリテラシーを教育して、目の前にある情報がどのような背景を持ち、
どのような意図を持っているか、やや積極的に理解してもらおうというものです。

しかしながら、正確に価値を測定するには、内容がきちんと理解できていなければできないことで、
それはなかなか難しいことです。
偏っているとか、無価値であるという判断を下すことがそもそも充分な知識がないとできないはずなのです。

さて、その場合、とりあえず笠原先生の本に帰りましょう。
笠原先生の本に書いてあることは、一応学会レベルで承認事項になっていることです。
笠原先生が書いていないことは、各人が勝手に、信じるところを開陳しているだけと思っていいと思います。
だからといって嘘ではないと思いますが、重みを一段落として読みます。

また、きれいな体裁で、いかにも分かりやすそうなものがありますが、
そのそも精神病という対象自体が非常に複雑で、現在のところ、そのような単純化はできていませんから、
それもまた、試みの一つではあるが、それ以上ではないと知る必要があります。

アメリカではもうみんながこうしているなどと書かれている記事もありますが、
アメリカという国は広いので、記者が書いているのはせいぜいニューヨークなどの部分です。
あるいはアイダホとか。
そこで一時的に何がはやっていても、精神医学の本流には関係がありません。
無視はしませんが、ただそれだけのことと評価します。

そのように考えてみますと、笠原先生が執筆に活躍した時代から、現在に至るまで、
どのような根本的な進歩があったものかと考えると、
ほんのわずかであったといえるのかもしれません。

今後、現在蓄積されている所見が
一気に整合的に統一的に分かりやすく説明される日が来るかもしれません。
しかしそれまでは地道に、笠原先生の本を頼りにして、
確実な線を外さないでたちむかう、それが大切かと思います。

以下をアマゾンやBK1で調べたらいいと思います。全部新書で高くありません。

精神病 (岩波新書) 笠原 嘉 (新書 – 1998/10)
軽症うつ病―「ゆううつ」の精神病理 (講談社現代新書) 笠原 嘉 (新書 – 1996/2)
不安の病理 (岩波新書 黄版 157) 笠原 嘉 (新書 – 1981/5)
青年期―精神病理学から (1977年) (中公新書) 笠原 嘉 (新書 – 1977/3)
退却神経症―無気力・無関心・無快楽の克服 (講談社現代新書) 笠原 嘉 (新書 – 1988/5)
アパシー・シンドローム  岩波現代文庫  税込価格: ¥1,155 (本体 : ¥1,100)

教科書で勉強したいならこれがいいと思います。
必修 精神医学 (単行本) 南江堂; 改訂第2版版 (1991/05)  医学部学生向けの教科書。

専門的な論文集ですが
精神病と神経症  2巻セット 税込価格: ¥13,650 (本体 : ¥13,000)
古本屋さんで1万円以下なら私なら買います。

朝刊シンドローム―サラリーマンのうつ病操縦法 笠原 嘉 (- – 1985/1) 新品なし
これも古本屋さんで見かけたら私なら買います。

そのほかに専門家向けや翻訳もありますが、分かりやすいものとも言えません。

新書版の分かりやすさが一番貴重だと思います。

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