経口避妊薬の長期使用により子宮頸癌のリスクが倍増、中止後は漸減2007-11-22

経口避妊薬の長期使用により子宮頸癌のリスクが倍増、中止後は漸減2007-11-22

11月10日付Lancet誌に報告が載っている。

従来は、経口避妊薬と子宮頚癌の関係について、薬物そのものの影響という考えと、薬剤使用の結果として性交パートナー数が増え、ヒトパピローマウイルスに感染する機会が増大するからという考えとがあった。

今回の調査は、「使用期間5年以上で相対リスクが倍増、中止後は漸減」「10年以上が経過すると非使用者と同等のリスクに戻る」という報告で、薬剤そのものが問題だったという側面が強調されている。

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子宮頸癌の相対リスクはconditional logistic regressionを用いて解析し、試験、年齢、性交パートナー数、初回性交年齢、喫煙、スクリーニング法などで層別化した。経口避妊薬の現使用者においては、使用期間が長くなるに従って浸潤性子宮頸癌のリスクが増大し、使用期間5年以上の女性の相対リスクは非使用女性の約2倍に達した(相対リスク:1.90、95%信頼区間:1.69~2.13)。浸潤癌およびCIN3とも同じリスクパターンがみられ、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染リスクの高い女性でも同様であった。また、患者背景の異なる女性間で、相対リスクの実質的な違いはみられなかった。
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どう解釈するのか。
混合型経口避妊薬そのものは、普通の性ホルモンだろう。飲んだからといって、性ホルモン濃度が普通よりも特に高くなるわけでもないだろう。

子宮頚部の細胞は脱落と再生が激しい場所なので、細胞ががん化する機会は多いだろう。がん細胞の増殖を免疫機構が抑制している一方で、性ホルモンが増殖を促進するだろう。しかし薬剤は自然の性ホルモンと濃度レベルは変わらないし、物質としても同じなら、とくに自然状態と比較して変化はないのだろうと考えられる。むしろ、規則正しく濃度変化が起こるので、細胞の再生と脱落のリズムが規則的にできて、がん細胞の「処理」には都合がいいようにも思える。

免疫機構の点では、胎児という一種の異物を収納する関係で、免疫機構は少しだけ監視をゆるめるだろう。ということは、がん細胞は生き延びるチャンスが増える。女性ホルモンが低レベルの方が、がん細胞監視には有利だろう。

経口避妊薬の内容を検討して、もっと低容量ではどうだろうかとか、各個人の性ホルモンの濃度をまず測定して、それに合わせて薬の量を調整するとかすれば、がんの対策になるのかもしれない。

いずれにしても、経口避妊薬を中止して10年以上経過すれば、非使用者と同等のリスクに戻るというのだから、やはり薬剤そのものが怪しいといわざるを得ないが、それでもまだまだ違う解釈の余地はある。実験室みたいに条件をコントロールできるわけではないからだ。

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